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数学
-- 双曲線関数
Last updated Mar. 12, 2008
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comp -MYPEDIA Math- 双曲線関数 Hyperbolic function 1 概要 双曲線関数とは sinh, cosh, tanh などの記号を用いて表される、三角関数と類似の 関数である。三角関数が円を媒介変数表示するのに対して、双曲線関数は双曲線を 媒介変数表示することから出てくる。 特に、cosh xは懸垂線と呼ばれ、両端で吊られる鎖の形であることが知られている。 2 定義 2.1 双曲線関数の定義 双曲線関数は指数関数を用いて次のように定義される。これは、三角関数のオイ ラーの公式1による定義に類似している。グラフは図 1 に示す。 双曲線関数の定義 sinh x = ex − e−x 2 , cosh x = ex + e−x 2 , tanh x = sinh x cosh x -4 -2 0 2 4 -4 -2 0 2 4 sinh(x) cosh(x) tanh(x) 図 1: sinh x, cosh x, tanh x のグラフ 1オイラーの公式 . . 1 Math 一覧へ . . comp -MYPEDIA Math- 3 相互関係 3.1 双曲線関数の逆数 双曲線関数の逆数は三角関数と同様に次のように表されることもある。 双曲線関数の逆数 sech x = 1 cosh x , cosech x = csch x = 1 sinh x , coth x = cosh x sinh x 3.2 双曲線関数の逆関数 三角関数同様、双曲線関数にも逆関数が存在する。通常は肩に-1 をつけて標記す るが、arc をつけて表すこともある。 双曲線関数の逆関数 sinh−1 x = arcsinh x = log(x + √ x2 + 1), (x ≥ 1) cosh−1 x = arccosh x = ± log(x + √ x2 − 1) tanh−1 x = arctanh x = 1 2 log 1 + x 1 − x , (|x| < 1) sech−1 x = log 1 − √ 1 − x2 x , (0 < x ≤ 1) cosech−1 x = log ( 1 x + √ 1 + 1 x2 ) coth−1 x = 1 2 log x + 1 x − 1 , (|x| > 1) 以下に cosh−1 x の場合の証明を示す。 cosh y = x (∵ 逆関数は x, y が逆になる) ey + e−y 2 = x ey − 2x + e−y = 0 e2y − 2xey + 1 = 0 (∵ 両辺 ey 倍) 2 Math 一覧へ . . comp -MYPEDIA Math- ey = 2x ± √ 4x2 − 4 2 (∵ ey の 2 次方程式と見て解の公式) ey = x ± √ x2 − 1 y = log ( x ± √ x2 − 1 ) (∵ 両辺の log を取る) ここで、マイナスの方のみを考えると log ( x − √ x2 − 1 ) = log ( 1 x + √ x2 − 1 ) (∵ 有理化の逆) = log ( x + √ x2 − 1 )−1 = − log ( x + √ x2 − 1 ) となるので、まとめると、 cosh−1 x = ± log ( x + √ x2 − 1 ) なお、このような式変形は、複素係数の二次方程式には解の公式が使えないため 三角関数ではできない。 3.3 三角関数との関係 オイラーの公式2を考えると双曲線関数と三角関数の間に以下の関係があることが わかる。 双曲線関数と三角関数の関係 sinh−1 x = −i sin(ix), cosh−1 x = cos(ix) 4 性質 4.1 双曲線との関係 座標 (cos θ, sin θ) は単位円 x2 +y2 = 1 上の点であるが、これは x = cos θ, y = sin θ が単位円の媒介変数表示になっていることを示している。 一方、単位円の方程式と符号のみが異なる標準形の双曲線 x2 − y2 = 1 は双曲線関 数を使って次のように媒介変数表示される。これが双曲線関数の名称の由来で、証 明は双曲線関数の定義を使えば簡単にできる。 2オイラーの公式 . . 3 Math 一覧へ . . comp -MYPEDIA Math- ただし、ここに出てくる θ は特に偏角などを表しているわけではない。 双曲線の媒介変数表示 双曲線 x2 − y2 = 1 上の点は (cosh θ, sinh θ) と表せ、 x = cosh θ, y = sinh θ は双曲線の媒介変数表示となっている。 4.2 加法定理 双曲線関数では三角関数とほぼ同じ形の加法定理が成立する。証明は定義より簡 単にできる。 双曲線関数の加法定理 sinh(α ± β) = sinh α cosh β ± cosh α sinh β cosh(α ± β) = cosh α cosh β ± sinh α sinh β tanh(α ± β) = tanh α ± tanh β 1 ± sinh α cosh α 4.3 微積分 双曲線関数の微積分公式については、微分法3と積分法4の項目を参照。 4.4 テイラー展開 双曲線関数のテイラー展開は sinh, cosh を除いてあまりきれいな形にならない。具 体的な展開についてはテイラー展開5の項目を参照。 3微分法 . . 4積分法 . . 5テイラー展開 . . 4 Math 一覧へ . .