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数学
-- ヘビサイド展開定理
Last updated Dec. 5, 2012
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comp -MYPEDIA Math- ヘビサイド展開定理 1 概要 有理関数 (多項式 多項式 の形の関数) は必ず部分分数分解できることが知られているが、そ の分子の形を決定するための定理がヘビサイド展開定理である。部分分数分解は連 立方程式を解くことでも求めることができるが、ヘビサイド展開定理を用いること で機械的に部分分数分解をすることができ、逆ラプラス変換1をする際などに使われ ている。 部分分数分解の利点は、高次の多項式からなる比較的複雑で扱いにくい有理関数 を、分母が 1 次またはそのべきであり、さらに分子が定数という非常に簡単な関数 の和に表すことができるという点である。 2 部分分数分解 一般の有理関数 f(s) を考えると f(s) = b0 sm + b1 sm−1 + · · · + bm−1 s + bm sn + a1 sn−1 + · · · + an−1 s + an のような形である。ただし、ここでは n > m としておく。このとき、分母 = 0 と したときの式は複素数と重解を含めれば n 個の解を持つ。解を p1 · · · pr と表すと f(s) の分母は次のように必ず因数分解できる。 f(s) = b0 sm + b1 sm−1 + · · · + bm−1 s + bm (s − p1 )n1 (s − p2 )n2 · · · (s − pr )nr ただし n1 + n2 + · · · + nr = n さらに必ず次の形に部分分数分解ができる = r ∑ i=1 { Ci1 (s − pi )ni + Ci2 (s − pi )ni−1 + · · · + Cini −1 (s − pi )2 + Cini s − pi } 1ラプラス変換 . . 1 Math 一覧へ . . comp -MYPEDIA Math- もしも m ≥ n(分母の次数より分子の次数の方が大きいとき) だったなら、多項式 の割り算を実行し、次のように変形すればQ(s) 以外の項が部分分数分解可能である。 f(s) = Q(s) + c1 sn−1 + c2 sn−2 + · · · + cn−1 s + cn sn + a1 sn−1 + · · · + an−1 s + an 3 定理の内容 ヘビサイド展開定理の内容を一般に書くと次のようになる。 Cij = 1 (j − 1)! lim s→pi dj−1 dsj−1 (s − pi )ni f(s) 特に、ni = 1 つまり重解を含まないとき、より簡潔に次のように表せる。 Ci1 = lim s→pi (s − pi )f(s) 上記の式はすべて 1 回の計算で済ませているが、段階を踏むと次のような計算手 順になる。 1. 分子を未知数 Cij として f(s) =(部分分数分解) の形の等式を作る 2. 求める C を決め、同じ pi を含む分母の中で最高次のものを両辺にかける 3. 求める C にかけられた (s − Pi ) がなくなるまで微分を繰り返す 4. 求める C 以外はすべて (s − Pi ) がかけられた形なので、s → pi として他の C を消す 5. 求める C について解く 以下に例題を示す。 例題 1 f(s) = s (s + 1)(s − 1) s (s + 1)(s − 1) = C11 s + 1 + C21 s − 1 まず C11 を求める s s − 1 = C11 + C21 (s + 1) s − 1 (∵ 両辺を s + 1 倍) 1 2 = C11 (∵ s → −1) 2 Math 一覧へ . . comp -MYPEDIA Math- 次に C21 を求める s s + 1 = C11 (s − 1) s + 1 + C21 (∵ 両辺を s − 1 倍) 1 2 = C21 (∵ s → 1) よって f(s) = 1 2 s + 1 + 1 2 s − 1 例題 2 f(s) = 1 (s − 1)(s − 2)2 1 (s − 1)(s − 2)2 = C11 s − 1 + C21 (s − 2)2 + C22 s − 2 まず C11 は例題 1 と同様に C11 = 1 次に C21 を求める 1 s − 1 = C11 (s − 2)2 s − 1 + C21 + C22 (s − 2) (∵ 両辺 (s − 2)2 倍) 1 = C21 (∵ s → 2) 最後に C22 を求める しかし s − 2 をかけても (s − 2)2 があるためうまくいかない そこで C21 を求めた式を利用して 1 s − 1 = C11 (s − 2)2 s − 1 + C21 + C22 (s − 2) − 1 (s − 1)2 = d ds C11 (s − 2)2 s − 1 + C22 (∵ 両辺を微分) −1 = C22 (∵ s → 2) よって f(s) = 1 s − 1 + 1 (s − 2)2 − 1 s − 2 3 Math 一覧へ . .